特別でありたい

人間というのは「限定」に弱いらしい。
ある人にとっては食べ物が、またある人にとってはイベントが。
それはきっと阿片のようなもので、一度経験してしまうと病みつきになる。
かくいう私も「初回限定盤」の文字に踊らされる一人。
こうした欲望を巧みに操る輩がいることは百も承知で、それでも抗うことが出来ないのだ。
CDだけではない。
ライブのチケットもそう。
多くの人が涙を呑み、運良く手にした者は優越感に浸る。
何度も何度も悔しい思いをして、それでもなお諦められない。
次こそはチャンスがある。
次こそは参加出来る。
そんな思いに突き動かされ、私達は沼にはまる。
 
「特別な存在」。
何と美しい響きなのだろう。
形はどうあれ、周囲の人とは違うと言った思いは時に人を輝かせて、時に人を狂わせていく。
誰だって「特別」でいたいし、唯一無二でありたい。
そうした心理を逆手に取り、欲望を操る人たちがいる。
彼らもまた、「特別」であることを欲する人たちであるけど。
 
勿論、「特別」であることは悪いことではない。
結果的に自己肯定感を得られ、精神面での安定が期待されるから。
けれど、そればかりを(無意識のうちに)求めるようになると弊害も出る。
欲望の赴くまま、手段を選ばなくなる危険性が。(理性なるものは一欠片もないのだろう)
そんなことを考え出すと、自分の行動が情けなくなる。
所詮、ずる賢いオトナたちに操られているだけではないか、と。
それでも良いわ、と開き直る強さは私にはない。
かと言って、「特別」への拘りを捨て去るだけの強さも持てず。
手に入れたばかりの「初回限定盤」を見ながら、遣る瀬無い気持ちを持て余している。